先週の「週刊金曜日」2007 №645 3/9 の「風速計」で本多勝一さんが、「“水路”を破壊せよ」というぎょっとするようなタイトルの記事の中で、次のようなことを語られていました。
「……スイスのネフ川は草原を蛇行する魚の多い小川だったが、それが改修工事て自然破壊されて直線的になり、魚や水棲昆虫などに大打撃を与えて“死の川”に近くなった。
そこでネフ川の生態系を復活させるべく、厚く固められた河床を破壊し、そこに砂利や玉石を移すていどの単純な再改修をやってみた。すると短期間のうちにマスの数や微生物の量がほぼ3倍に増え、川の水も自分の流れる筋を自分で求めて曲がるため、元通りの自然ではないまでも『近自然』となって活性化した」と。
soroはこの部分を読みながら、今から45年ほど前、現在住んでいるところに約150坪ほどの土地を買い、約15坪のピロティ風の小屋を建て、ワイフと二人で生活しはじめた頃のことを思い出しました。
その頃のsoroの小屋の前は田圃で、さらにその先には緑の丘があり、そこはブナやソロやナラやカエデなどの落葉樹の林になっていました。
またその緑の丘の麓に沿って、きれいな水が流れる小川があり、その小川にはフナや可愛いタナゴやときにはドジョウやサワガニやシジミやザリガニやさまざまな水棲昆虫などが住みついていました。夏にはその小川沿いにたくさんのホタルが飛び交い、soroの家の庭や、ときにはsoroの家の天井近くにある無双窓からsoroたちの寝室にまで飛び込んできたホタルもいました。
しかし、その後日本経済の高度成長の時代になると、soroの家の前の丘の木々は切り倒され、丘は切り崩され、丘の麓にあった小川には、コンクリートのU字溝が埋め込まれ、その1部にはコンクリートや金属の蓋が付けられてしまいました。
soroの家の近くの緑の丘は消え、丘の麓を緩やかに蛇行していた小川もコンクリート製の排水溝に変貌し、フナやタナゴやドジョウやサワガニやシジミやザリガニも水棲昆虫も、すべて姿を消してしまいました。そして、自然の中で遊ぶ子どもたちもの姿も見られなくなってしまいました。
本多勝一さんはこの「“水路”を破壊せよ」という記事の最後の部分で、「このような変貌は「文化の問題であり、結局は日本の将来の問題であろう。スイスに学んでこの“水路”を『破壊する日はいつのことかと……』」と結ばれていました。