「週刊金曜日」3/30 889号には、『大江健三郎氏が語った「ヒロシマ・ノート」の後悔』というタイトルの藤原かすみ氏の、とても小さな記事が、p.8の右下に載っていました。
「フランス最大の書籍展『サロン・デ・リーヴル』(3月16日〜 19日)が、パリで開催された。日本からは作家の大江健三郎氏やルポライターの鎌田慧氏ら20人が招待を受け“フクシマ”1周年を強く意識したプログラムの下、さまざまな後援会が開かれた。
大江氏は作家としての転換点なった『ヒロシマ・ノート』の取材に触れ、『当時、医師たちから、広島で生き残った子どもたちに見られる低線量被曝の問題について聞いていた。数年後にがんが発生すれば問題が明確になるが、20年経てば問題は終わる。みんな死んでしまうからだ。といった医師もいた。米占領軍からデータを残すことも患者の聞き取りも禁止されていたため、医師たちのことを思い、書き記すことはしなかったが、それは私の大きな悔いにとなっている』と。『ヒロシマで起きていたことがフクシマで続いている』と指摘する大江氏は、すべての講演で、“根本的モラル”を示すのが作家人生最後の仕事であると語った。
“根本的モラル”とは、作家のミラン・クンデラの言葉で『次世代が生きていくための条件を妨げない』ということだ。『原発を再稼働させないことが、私にできる唯一の仕事』と大江氏は言いきる。」と。