今日の東京新聞のトップは、「ムバラク大統領の辞任 エジプト 独裁政権30年で幕 軍が国政暫定運営」という見出しで、「エジプトで続く大規模な反大統領派デモを受け、スレイマン副大統領は11日午後(日本時間12日未明)、国営テレビを通じ、ムバラク大統領の辞任を発表した。国政の運営は当面、軍最高評議会が担うことになり、30年にわたるムバラク体制は崩壊した。チュニジア政変に続きエジプトでも反政府デモをきっかけに独裁政権が倒れたことで、アラブ世界は歴史の転換点を迎えた」と報じていました。
ところで、2月11日発売の「週刊金曜日」(843号)には、「追い込まれる親米国家 アラブの民衆革命」というタイトルで、長沢 栄治さんの「混迷と『抑制』が同居するエジプトの変革」、早尾 貴紀さんの「孤立深まるイスラエルへの懸念」、石山 永一郎さんの「米国の描く新たなアラブ地図」などの論文が掲載されていました。
長沢さんは「『民主主義』を口にする一方で、どんなに腐敗にまみれても自国とイスラエルに同調すれば『同盟国』として擁護してきた米国の偽善が白日の元に曝された瞬間でもある」と語り、また早尾さんは、「アラブで飛び火する民衆デモ、絶妙なタイミングでイスラエル政府とパレスチナ自治政府との密約が暴露され、アッバス政権に対する不信感が決定的に裏付けられた。親米国家としてイスラエルを支えてきたエジプトが不安定となり、中東にも不穏な空気が漂い始めた。」と述べ、石山さんは「政府への抗議行動が続くエジプトなど中東で進む地殻変動は、ブッシュ前政権下で新保守主義(ネオコン)派が唱えた『民主化ドミノ論』が『周回遅れ』で現実になりつつあるかのようだ。… しかし、皮肉なことに、中東におけるドミノは、ネオコン派が期待したのとは逆方向に倒れ始めているようにも見える。」と語り、「過去10年間にわたる米国の経済・軍事両面での世界戦略が試練の場に立たされようとしていることは間違いない。」と結論づけていました。
ところで、このような「中東で進む地殻変動」で米国のオバマ政権は中東政策の見直しを迫られているのでしょうが、「経済・軍事両面」で米国依存の日本の菅政権は、どのような対応をしていく
のでしょうか。